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コンビニで軽い昼食を摂った後、次の旅館と料亭を見学し、今日泊まるホテルにチェックインした。時刻は5時を過ぎていた。
部屋に入ると、ベッドに転がった。ほとんど座ることのなかった1日。まだ若かったが、足腰が痛かった。
一息ついて外に出た。まだ蒸し暑く、夕日に照らされた町は、よりノスタルジックな雰囲気を醸し出していた。食事をしようと店を探している人たちの間を抜け、颯一郎は京料理を出してくれる店を目指した。
川沿いを歩きながら、遠くに架かる橋を眺めた。今日のことを振り返り、本当に自分はここでやっていけるのか、そんな不安が頭をよぎった。
橋を横目に足を進めていた矢先、見慣れた後姿を見つけた。いつも家庭科の授業で見ていた後姿。
「まさか…」
そんなことはないと考えながら歩を進め、その女性を追い越す瞬間、横目でちらりと顔を窺った。
「…先生!?」
颯一郎は思わず声を掛けていた。
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