ソシャゲより厳しい課金ゲー

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ソシャゲより厳しい課金ゲー

 金で合格は買えなかった。  高校二年生の冬休みになって、ようやく僕は高校受験の時に使った参考書の整理を始めた。山積みになった分厚い本。それを十分に活用できたかと問われても、自信をもって頷くことはできない。  僕は第一志望の公立高校には落ちて、滑り止めで受かった私立高校に通っている。「私立は負け組じゃない」という言葉を聞いたことがあった。そんなの嘘だ。着たくもなかった制服に袖を通して、絶望に打ちひしがれながら校門をくぐった時の屈辱。推薦で受かってきた同級生たちの笑顔を見るたび軋む胸の奥。吐き気を催すような苦しさ。そんなもの、実際に体験した人間にしかわからないに決まっている。  今でもその気持ちは鮮明に思い出せるが、だからといってもうどうということはない。この高校での生活も半分終わった。諦めも通り越して慣れてしまった日々。染み付いた敗北者の烙印は、もう見えないくらい僕の全身に馴染んでいた。  もともと中学でも成績の良かった僕は、負け組の私立校では上位をキープできていた。当たり前のことだ。誇る気にもなれないことだ。逆にそうでなければならないというプレッシャーだけが首を絞めていた。僕は天才じゃないから。天才だったらこんなところにはいないから。
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