338人が本棚に入れています
本棚に追加
それからは、会う度にキスをした。
夜の公園で。光貴さんの車の中で。またはプラネタリウムの星空の下で。
何度しても足りないと思うくらいに、何度も何度もキスをした。
夏のある日、会社の五十周年の式典があった。
僕はバイトだから参加出来なかったけど、正社員の光貴さんは参加した。
その式典が終わった後に、珍しく光喜さんから「会いたい」と連絡が来た。
何も予定がなかった僕は、二つ返事で「いいよ」と言い、駅に向かった。
駅まで迎えに来てくれた光貴さんの車に乗り込み、海が見える洒落たレストランに行く。
光貴さんは、式典の帰りだからスーツの正装だけど、僕は白シャツに茶色のチノパンというラフな格好だった。
「僕、こんな格好だよ?入っていいの?」
「大丈夫。そんなに堅苦しい店じゃないよ」
そう言って笑う光貴さんに手を引かれて、店の中に入った。
光貴さんは、いろんな店や場所を知っている。
大人っぽい落ち着いた雰囲気の、ジャズの生演奏が流れるバーにも連れて行ってもらったことがある。
そんな所も、僕よりとても大人に感じて、興味を持ったのかもしれない。
海の遠く向こうに光る船の灯りを見ながら楽しく食事をして、再び光貴さんの車に乗り込んだ。
光貴さんは、しばらく無言で運転をしていたけど、あるホテルの前でハザードを出して車を停め、僕の目を見て「…いい?」と聞いてきた。
僕は少し躊躇ったけど、光貴さんの目を見つめ返して無言で頷く。
そのまま光貴さんも無言で車を発進させると、ホテルの駐車場へ入って行った。
車を降りて、僕の手をしっかりと握って中へ入る。部屋を選んでエレベーターに乗り込みながら、光貴さんが「ちゃんとしたホテルじゃなくてごめんな」と謝った。
僕は首を左右に振って、繋いだ手に力を込める。
光貴さんもふわりと笑って僕の手を強く握り返して、エレベーターを降りた。
部屋のドアを開けて中に入ると、ドアが閉まるよりも早く、抱き合った。
お互いを強く抱きしめ合い唇を重ねる。
初めてキスした時から思っていたけど、光貴さんとのキスは気持ちがいい。
それは、キスだけではなかった。
もつれるようにベッドに倒れ込み、キスをしながら服を脱ぐ。全裸になって素肌をピタリと合わせると、それだけで痺れるように気持ちが良かった。
光貴さんに丁寧に全身を愛撫され、丁寧に後ろを解された。
ゆっくりと光貴さんの大きなモノが僕の中に収まり、意図せず僕の中が震えた。そのせいなのか、光貴さんが入れただけで果ててしまった。
「ごめん…。空良が可愛すぎて…」
そう言って照れ笑いをした光貴さんの頭を、僕は胸に抱き寄せて、そっとつむじにキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!