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まだ意識がハッキリとしていない橙子の顔を、目を細め、恍惚と見入っていた。
段々と意識が戻ってきた橙子は、ハッとした。そうだ、今自分は眼鏡を外し、素顔を晒している。
しまった、と思うには遅すぎた。彼は、橙子の長い前髪を横へと流し、うっとりした表情で橙子の頬を撫でている。
こんな綺麗な顔をしていたんだね、などと呟きながら触れていた。瞬間、目が熱くなるのを感じた。瞳の色が緋色へと変化する。
ーーーなんて美しいんだ……
そんな言葉が固まっている橙子の耳に入る。
あぁ…見られてしまったーーー
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