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口を半開きにしながら、その人を見つめた。
自分の全てを持っていかれた。こういうのを、一目惚れというのだろうか。恋なのかわからない感情。ただ、自分はもうこの人しか目に入らないだろうと感じた。
ずっとこのまま見ていたいと思っていた時だった。出逢って僅か数秒の静寂した時間は終わりを告げた。
無表情で自分を見ていた彼女は、すっと目を逸らし、そのまますれ違って階段を降りていった。
携帯を取りに来た目的を忘れ、しばらくそのまま動けなかった。
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