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信じる所以
次の日は、あの女に会いたくなかったので違う道を通った。
でも、会いたくないという願いは叶わなかった。
「ねぇ、なんでこんな道通って帰るんですか?私に会いたくなかったんですよね。私知ってますもん。」
今日もまた後ろからいきなり現れたのでびっくりした。
しかもこの声の主は昨日会った、自称魔法使いの痛い女だ。
「別にオレがどの道通って帰ろうとお前には関係ないだろ。自称魔法使いさん。」
「自称じゃないですし!んーよし。今から五秒後、あそこの男の子が持ってるクレープが落ちてその男の子が泣いてしまいます!」
「はあ?そんなことあるわけ……。」
そういったとき本当に男の子が持っているクレープが落ちてしまった。
大泣きだ。
「はは、まじか。」
「ふふーん。まじです。」
もう信じてやるしかないなと思った。
そんなすぐ信じすぎだろうと思うかもしれないけど、実際に会ったら信じざるを得ない。
まじで。
「はいはい、信じます信じますから。」
「やっりー。」
その魔法使いは八重歯を出して笑った。
その笑顔を見て、オレは少しだけこの魔法使いのことが好きになってしまったみたいだ。
女なんて免疫のないオレは、惚れやすっぽかったらしい。
そんなことを思っているとこんな疑問が生まれてきた。
「こうやってオレに信じさせたのはいいが、なんでオレにそんなこと言う必要があったんだよ。」
ふふんっといった顔で説明して来た。
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