花火が終わっても、このゲームを続けていいかな

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 矢野由貴子は大事そうに遺影を抱えている。かなりやつれた顔だ。黒いワンピースに、ひっつめ髪。黒一色のフォーマルなシルエットが、彼女の気品を際立たせていた。  指先で突いただけで倒れそうなほど儚げではあったが、それでも弟の旅立ちを見守る瞳は、健気な力強さを孕んでいる。  彰宏は、遠巻きに眺めながら、不謹慎を承知でつぶやいた。 「綺麗だ……」  スマートフォンを構えて、カメラのシャッターを切る。  棺と親族を乗せた霊柩車が出発し、アスファルトの陽炎に緑色のナンバープレートが揺らめく。彰宏は、視界から消えるまで霊柩車を目で追いつづけた。
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