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「なるほど。怖い部分もあるんだな」
そして、彼女に結婚しようと言えなかったなと、当初の目的が果たせなかったことにも苦笑してしまう。
ただ、迷信は確かに本当だった。それだけでいい。
「あれ?でも、あのおじいさんは」
トラックで通りがかったというのに、音がしなかった。そして、去って行く時も、音はしただろうか。
「帰ろう。あの世に飲まれる前に」
僕はそう呟くと、ようやく橋から電車の駅へと向かって歩き出していた。
そんな僕の姿を、彼女が橋の上から笑顔で見送っているのには気づかないまま――
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