常世橋

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「なるほど。怖い部分もあるんだな」  そして、彼女に結婚しようと言えなかったなと、当初の目的が果たせなかったことにも苦笑してしまう。  ただ、迷信は確かに本当だった。それだけでいい。 「あれ?でも、あのおじいさんは」  トラックで通りがかったというのに、音がしなかった。そして、去って行く時も、音はしただろうか。 「帰ろう。あの世に飲まれる前に」  僕はそう呟くと、ようやく橋から電車の駅へと向かって歩き出していた。  そんな僕の姿を、彼女が橋の上から笑顔で見送っているのには気づかないまま――
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加