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虚構の明日
あの日、君と会った日。
今より元気だった君は、私を助けてくれた。
私の心を溶かしてくれた。
君は私を助けてくれたのに、なんで私は君を助けられないんだろう。
ただただそう考えることを繰り返す。
たとえ私が医者になって君を助けたいと思っても、そのころ君はいないだろうし、まず私には絶対に治せない。
それほどまでにひどい病状なのだ。
3時前になったので、別れを言う。
「また明日。」
「うん、また明日。待ってるよ……。」
病院内を歩いているとき、話し声が聞こえてきた。
「ねえねえ、335号室の男の子知ってる?」
335号室は彼の病室だ。
何だろう……。
「明日まで生きられないかもしれないらしいわ。」
「えっ……。まだ中学生なのに……。」
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