5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
戯言の哀情
「今日も来たよ!どう?大丈夫そう?」
「うん。大丈夫だよ。」
君は私を心配させまいと嘘をつく。
私もわかっているのだ、大丈夫じゃないことを。
「ねえねえ、今日はいつまでいられるの?」
「今日は3時から検査だから、それまでいられるよ。」
「ふふっ。今日は昨日より一緒にいられる。嬉しいな」
「そうだね。ボクもうれしい。」
検査のたびに死へと近づいていくことを実感しているだろう君は、毎日をどう感じているのだろうと思う。
きっと、時間が止まってほしいと感じるはずだろう。
できれば私が変わってあげたい。
一緒な苦痛を味わってあげたい。
でも、それは叶わない。
もどかしい気持ちで私は毎日君に会いに行く。
よっぽどのことがない限り、君に会いに行かなかったことは無い。
最初のコメントを投稿しよう!