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「……今、家に何も無い。出来ねぇんだよ、避妊。」
「あ」
そう言われた千都香は喜びそうになって、慌てて止めた。
避妊具が無いという事は、そういう事に無縁だったという事だろう。華也子との再会にざわざわしていた千都香にはそれが嬉しかっただけなのだが、避妊出来ないと聞いて喜んだりしたら、また変な誤解をされかねない。
「……平気ですっ」
「は?」
嬉しさを抑えて一言だけ言ったら、眉間に皺が寄った。
「今日、平気な日ですっ……騙してません、ほんとですっ、」
千都香は、念を押した。
心残りの無い様に余すことなく触って欲しいだけなのに、出来婚狙いの鬱陶しい女疑惑を持たれては困る。
「……お前……そんな事言う奴だったのか……」
「せっ……先生だってっ、」
肌襦袢の襟の肩の間に鼻を埋めて呟く壮介に反論する。
「先生だって……こんな事する人だったんじゃないですかっ……」
言った傍から、また肌を何度か吸われている。漆かぶれではなく壮介かぶれが既に何個付いたか分からない。
「は?なんだ、『こんな事』って」
「なんか、触り方が……やらしいっ……っ」
吸われたり、痕を付けられたりだけではない。さっきから、あらゆる事をされている。
項や耳の後ろや首筋は千都香の汗だか壮介の唾液だか分からない物で濡れ、肌襦袢から覗く胸は紅絹に負けないくらい赤らんで、現在はこりこりと摘ままれている。
「あん?やらしくなるために触ってんだろうが……嫌か?」
「……ううんっ……」
千都香は自分に触れている壮介の腕を抱いて、口づけた。
「気持ちい……もっと、触って……」
「あぁぁあああ!!」
「へっ?」
突然壮介に叫ばれて、千都香は目を丸くした。
「全く、お前は、何なんだ!?」
「え?……あ」
壮介は、シャツを脱ぎ捨てて、驚いて振り向いている千都香を向かい合わせにひっくり返した。肌蹴た襦袢をすっかり剥いて、そのまま千都香を抱き締める。
「ふぁ……あったかい……」
「……あったかい上に、手じゃないとこも触れるぞ」
「ぁん……」
時折ひやりと冷たく感じる絹と違って、肌と肌が触れ合う温もりにぼうっとなる。胸と胸が擦れると、固くなった先端がゆるく擦られて吐息が漏れた。
気持ち良さに鼻を鳴らした千都香の体を、壮介はゆっくり横たえた。
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