あなたが私に触れた夜

18/22
前へ
/24ページ
次へ
「……お前っ……わざと……じゃねぇよな……」 「あ!あ、だめ、うごいちゃっ、まだびくびくってっ…………ぁ、だめ、だめだめぇっ!!……ゃああ、とまんない、あ、」  達して痙攣する様に震える自分を刺激しないで欲しいのに、壮介にはそれが伝わらない。動かれて、自分を襲う快感の波が止まらない。ぎゅっと抱き付くと、壮介が苦しげに唸った。 「千都っ……ダメだ、そろそろ離せ、」  千都香のどろどろの頭はその言葉に反応した。  この男は、今更自分から離れようと言うのか。  だめだ。許さない。 「やだぁ!いて、そこにいて!」 「はぁあ?!お前、中に、」 「いいからっ、いて……そこで、そのまま、」 「おいっ……んっとに離せこのバカっ……こら、千都香っ!?」 「んーんっ!ん、ん!」  千都香は頭を振って壮介にしがみついた。  離れない、絶対に。  しがみついたままで、中で何かが爆ぜたのが分かった。びくびくと脈打つものに、きゅうきゅうと応える自分の体。  なんて幸せなんだろう、と千都香の頭は甘く蕩けた。  一度きりの夜であってもこんな風に満たされるのなら、どうでもいい何千回よりも、ずっと幸せだ。   「……っの……」 「は……ぁ、ん……」  壮介が崩れる。重くない様にしてくれているが、重くたって構わない。しがみ付いていた脚は、力が入らなくなってぱたりと落ちた。腕で、壮介を抱き締め直す。 「この……強情女っ……」 「……えへへー……」  唇、頬、首筋、耳朶、鼻先と、あちこちにキスされたあと、額にキスが落ちてこつんと額を付けられる。壮介の息が荒い。汗で湿った感触も、怒っている様な声も、体の重さも、心地良い。   
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

229人が本棚に入れています
本棚に追加