あなたが私に触れた夜

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「……そうすけさん……?」 「……ん?」  大事なものを呼ぶ様にそっと名前を呼んでみたら、髪を撫でられた。気持ち良くて、千都香は目を閉じて笑う。 「いまの、きらい……?」 「……好きに、決まってんだろ……」  ぼやけた頭で感じた疑問を口に出す。  まだ息を切らせながらも、ちゃんと応えてくれるのが嬉しい。 「……すき……すき?」 「ああ、好きだ」 「すきっ……」  すき、という響きは、千都香の耳をとろとろとハチミツの様に満たした。  自分の事を言われているのではなく、強請(ねだ)った行為の事を言われているのだと分かっていても、好きだという言葉は甘い酒の様に千都香を酔わせる。 「うふ……すき……?」 「んな顔するな」  自分はどんな顔をしているのだろう、と不思議になる。壮介が切なそうに口づけたくなる様な顔。胸の奥が甘く疼くと、萎えた筈の壮介がびくりと自分の入り口を刺激するのが分かった。 「ぁ……また、きもちいっ……」 「あー……きりが無ぇな……」 「せんせ、して?さわって、もっと」 「こら。壮介っつったろ」 「ゃん!……んふっ……そぉすけさ……ん……」  鼻先をふざけて甘噛みされ、千都香はその唇に逆に噛み付く。じゃれ合う様に繰り返される口づけは深く濃くなって、二人はまたお互いの肌に触れ、自分が知らなかった相手の部分に、何度も溺れた。   
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