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気がつくと車の中だった。
レニーに抱きかかえられる形で座っており、彼の肩に頭を預けていた。
「ん……」
「ハルヤ?」
ハンサムな顔が覗き込んでくる。心配そうに瞳が揺れた。
「……助けてくれて、ありがとう」
「見つけることができて本当によかった。怪我はしていないか?」
優しい手つきで頬を撫でられる。その途端、びり、と電流が身体に走った。
「んっ」
「……ハルヤ?」
それをきっかけに、身体が熱いことに気がついた。はあ、はあ、と呼吸が乱れる。
「なに……これ……」
服が肌に擦れるだけで吐息がもれる。
戸惑う陽弥は、レニーを見上げた。胸がどきどきして、立派な身体にもっと密着したくなる。
彼の体温に切ないほどの喜びを感じた。肩に額を擦り付ける。
「っ……レニーっ」
「ハルヤ、何か飲まされたか?」
「はあっ……薬を、飲まされた」
レニーが小声で何かを呟いた。自分の呼吸音が邪魔をして聞き取れない。
彼の爽やかな香水の匂いでさえも胸が熱くなる。
「辛いだろうが、もう少しだけ我慢してくれ」
励ますようにそっと腕を撫でられる。身体が勝手にぴくっと反応した。
「あっ」
「っ、悪い」
慌てて手が離れる。
頭がくらくらして再び何も考えられなくなった陽弥は、レニーに身体を預けて、荒い呼吸を繰り返した。
「レニー……っ、レニーっ」
うわ言のように触れている人の名前を呼ぶ。
身体がさらに熱くなってきて、切なげに眉を寄せた。
ごくりとレニーの喉が鳴る。それには気がつかないで、ただ彼の名前を呼びつづけた。
***
車が止まった。すぐにレニーはドアを開ける。
「触れるぞ」
確認するように言った彼は、陽弥を車から出して横抱きにする。
見たことのない家の前だった。立派な建物は大きく、高級感が漂っている。
レニーは躊躇なく扉を開けた。朦朧としながらも、ここが彼の家だとわかる。
周りを見る余裕はなかった。一つの部屋に入り、大きなベッドに優しく降ろされる。
「水を持ってくる」
彼の体温が離れる。それがとても寂しくて、陽弥は鍛え抜かれた身体に抱きついた。
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