私は女です

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私は女です

「薫さん、頑張って!」 この時、岩波薫は部活である バスケットボールの練習をしていた。 薫は、身長は175㎝ある 長身の女の子であった。 今は、高校2年生である。 去年の秋の体育祭で学ランを着た 薫を見てファンになった学生が 薫のファンクラブをつくって 応援をするようになったのだ。 薫の学校は、女子高校で薫のように ファンクラブが当たり前になっていた。 しかし、薫は自分の背丈を コンプレックスに感じていた。 そんななかで、薫は部活を終わって 家に帰ってきた。 そして、制服を着替えるために 自分の部屋に行った。 部屋に入ると薫は、ファンからの 手紙を読んでいた。 「女の子にモテたって意味がないのに」 そう言って薫は、 自分の私服に着替えていた。 そして、私服に着替えた薫は 夕食を食べていた。 「ただいま」 「お姉ちゃん、お帰り」 「ただいま、浮かない顔をして なにか、あったの?」 姉の雅子は短大生。 薫とは2つ違いになる。 「あたし、女の子にモテたって意味がない。 あたしは、女だよね?」 薫の発言に雅子は笑っていた。 「確かに、あんたは小さい頃から 女の子の遊びより男の子の遊びが 好きだったからね。 だから、そう思うんじゃないの?」 「そういうものかな?」 「そういうもんだよ。 あんたさ、自分のコンプレックスを 克服するなら宝塚音楽学校に行けば?」 雅子の言葉に薫は驚いていた。 宝塚歌劇団は、薫の憧れだったのだ。 「薫、あんたは自分の背丈を 気にしているようだけど、 このままネガティブになると 気持ちが暗くなるよ。 はいっ、宝塚音楽学校の入学願書。 あんたのコンプレックスを いかして頑張れるよ。 自信を持って受けてみなよ」 雅子の言葉で、薫は憧れの宝塚に 足を踏み入れようとしていた。 自分のコンプレックスに ネガティブになってはいけない。 ネガティブになるなら、 ポジティブになることを考えよう。 「お姉ちゃん、あたし宝塚音楽学校を受けてみるよ。 ダメ元でいいならやっていけるよね?」 「あんたなら、大丈夫だよ。 バスケで鍛えた根性があるから。 頑張って合格するといいね」 姉の雅子から背中を押されて 薫は宝塚音楽学校の受験を決めた。 これから先、どうなるかは皆無である。 しかし、これが薫にとって 人生を変えていくことになることは 言うまでもなかった。
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