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ルビーに込められた母の心
薫が所属するバスケットボール部で
試合が行われようとしていた。
この試合に薫はレギュラーで抜擢された。
ところが、この試合があることで
宝塚へ行くためのレッスンに行く
時間が遅くなることがあった。
このことで悩む薫に、
講師をしている絵梨花先生は言った。
「学業重視をすることで、
音楽学校で必ず役に立つのよ」
と薫が試合に出るまでは
特別レッスンを受けさせていた。
そして、いよいよ明日試合となった。
薫は、試合の前日に
母夏海に手渡されたものがあった。
「お母さん、これは?」
「これは、ルビーよ。
ルビーは、勝利を招く石なのよ」
「これを私に?
これは、お母さんの宝物じゃないの?」
「このルビーで、明日の試合に
勝つことを祈っているわ」
母夏海は、薫に
ルビーのペンダントを手渡したのだ。
ルビーのペンダントで娘の試合と
宝塚への合格を願っていたのだ。
「お母さん、ありがとう。
明日の試合、必ず勝つよ」
そして、試合当日になった。
この日、薫は母夏海に手渡された
ルビーのペンダントを
肌身に離さず身につけていた。
試合の応援には姉の雅子と
薫の友達が来てくれた。
「薫、頑張るのよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「薫、頑張って。応援しているよ」
「ありがとう、玲子」
「薫、あたしの分までシュートを決めて!」
「清美、あんたの分まで勝つからね」
この清美は、薫の親友で
バスケットボールでライバルとして
競い合う仲であった。
ところが、清美は試合前の練習で
足を捻挫していた。
「清美、絶対に勝つよ。
あんたと一緒に戦うからね」
そして、いよいよ試合開始の
ホイッスルが鳴った。
試合は、薫の高校が優勢に運んでいた。
そして、1回戦から勝ち進んでいき
気がつけば決勝戦まで駒を進めていた。
「薫、頑張れ!」
雅子は、薫の勝利を祈るしかなかった。
「雅子」
「お母さん」
「薫は?」
「今、決勝戦よ」
「そうなのね。間に合ってよかったわ。
絵梨花、今日は来てくれてありがとう」
「夏海、あんたの娘じゃない。
きっと、優勝するわよ」
そう、母夏海が絵梨花先生と一緒に
試合を見に来てくれたのだ。
母夏海と絵梨花先生は、
宝塚の同期であり親友であったのだ。
「薫、頑張れー!」
薫は、試合に行こうとした時に
母夏海と絵梨花先生が
来てくれたことに驚いていた。
「お母さん、絵梨花先生、
見ていてください。
必ず優勝をしてみせます」
薫は、応援席にいる母夏海と
絵梨花先生に向って手を振っていた。
そして、決勝戦のホイッスルが鳴った。
試合は、点数が同点となっていた。
そして、最後のシュートのチャンスが
薫にまわってきた。
「薫、シュート!」
この時、薫は男性顔負けの
ダンクシュートを決めていた。
薫のシュートが決まったところで
試合終了となった。
この瞬間に薫の高校が優勝した。
「やったー!優勝だよ、お母さん」
雅子は、薫の友達玲子と
清美と一緒に喜んでいた。
「夏海、薫は私が必ず宝塚に連れて行くわ」
「絵梨花、薫をお願いね」
母夏海と絵梨花先生との間で
交わした約束を果たす時が来るだろう。
それが、薫の音楽学校への合格である。
そのために薫の力量を見極めた絵梨花は、
薫を宝塚音楽学校そして宝塚歌劇団に
連れていくことを決意していた。
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