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ふるまいのそば
寒い寒い 真夜中の行列を抜け出して、まぶしいくらいに明々と光るランプの灯ったテントの下へ、お椀一杯の蕎麦をもらいに走った。
150円か、300円。それぐらいを握りしめて。
並んで受け取った、あつあつのお蕎麦の入ったお椀と、割り箸。
ベンチはもう埋まっているから、植え込みのはしっこの石に座って、割り箸を割って、ふうふう、冷ましながら、一生懸命食べた。
発泡スチロールの小さなお椀に、一杯だけ。だけど、特別美味しく感じた。
子供の頃の、大みそかの夜の美味しい思い出。
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