幼なじみからの誘い

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幼なじみからの誘い

「清香、いつまで寝ているの! 早く起きなさい!」 「あーん、遅れちゃう。 お母さん、早くパンを焼いて」 これは、毎朝起きる 家族の光景である。 この宮崎家は、両親と 長女の清香、次女の瑠璃子 そして三女の真紀の5人家族である。 清香は、短大の2回生になったばかり。 瑠璃子と真紀は双子で 高校3年生である。 この時、瑠璃子と真紀は 学校に出かけたばかりであった。 清香も急いで学校に行く支度をして 朝食をとっていた。 「あんたは、どうして 早く起きてこないの! 瑠璃子と真紀は学校に行ったわよ」 これまで清香、瑠璃子、真紀は 中学校からのエスカレーター式の 私立の学校に通っていた。 この学校は、中学から短大までの エスカレーター式の学校なので 清香は短大での最後の学年となった。 「清香、今年で短大卒業だから 就職活動を始めておかないとダメよ」 「わかっているわよ。そのために 保育士の勉強をしたんじゃない」 「そうだったわね。あんたには ピアノのほかに電子オルガンが 演奏できるのが強みだからね」 「うわっ、もうこんな時間だ。 お母さん、行ってくるね」 そんなわけで、清香は家の玄関を出た。 そして、この時に隣の家である 水沢家から玄関を出ようとした 男の子がいた。 水沢家は、両親の他に恭一の3人家族。 恭一は、清香の幼なじみである。 「行ってきます」 恭一は、車に乗って 大学に行こうとしていた。 この時に、清香は恭一に 駅まで乗せてと言っていた。 「まったく、しょうがないな」 そう言いながらも恭一は、 清香を自分の車に乗せて 最寄駅まで送っていた。 そして、清香に 思いがけない話があった。 それは、恭一からの電話だった。 「清香、今からオレの家に来いよ。 話したいことがあるんだ」 「わかった、これから行くね」 清香は、電話を切るとすぐに 恭一の家に行った。 「こんばんは、おばさん。 恭一くん、いますか?」 「今、お友達とお部屋にいるわよ」 「そうですか、わかりました」 清香はそう言うと2階にある 恭一の部屋に行った。 部屋のなかに男の子が3人いたので 清香は部屋のドアから入れなかった。 「清香、早く入ってこいよ。 これから打ち合わせがあるんだよ」 「打ち合わせ?」 「話の内容は、部屋に入ってからだ」 恭一の言葉で清香は部屋に入った。 そして、男の子たちに清香を紹介した。 「清香、オレたちと一緒に バンドをやらないか?」 「えっ、バンド?」 「せっかく、電子オルガンと ピアノの演奏ができるのに 1人でやるよりは みんなでやると楽しいじゃん」 確かに清香は電子オルガンと ピアノが弾けるがバンドでやれるのか 不安があったのはいうまでもなかった。 「恭一、あたしでもできるかな?」 「清香なら大丈夫だよ。 清香の演奏はオレが保証する。 だから、コイツらを連れてきたんだよ」 この時の恭一の言葉で 清香はモヤモヤしていたものが 吹っ切れたようだ。 「私でよければ、よろしくお願いします」 「よっしゃー!」 そして、清香と一緒に バンドをやる仲間を紹介した。 リードギターの滝沢守。 同じくギターの杉崎健次。 ベースギターの岬良介。 ドラムスの柴本敦史。 そして、キーボードに清香が加わった。 ボーカルは、恭一が担当となったことで バンドグループ「サファイア」が ここで正式に誕生をした。
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