■ 第一章 (出会い)

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返答に困っていたが、よくよく考えればこれじゃ完璧にこの少女のペースじゃないか。何とかしてこのペースを崩して早く帰ってもらおう。そんなことを考えていたら、少女は急に何かを思いついたようだった。 「じゃあさ、勝負しようよ!」 「しょ、勝負?」 「そう! 私が勝ったら、そこに入っているお菓子ちょっとちょうだい!」 「もし負けたら? いや、そんなことより早く帰ったほ…」 「うーん、負けたらかぁ…。」 女の子は男の話を遮るように、腕組みをし考えるしぐさをする。 「そしたら…、私のとっておきの秘密を教えてあげる。  あとわたしの一番大切にしているものもあげるわ」 「……。 やっぱり早く帰っ…」 「どう? やる?それともやる?もちろんやるよね?」 今のこの子には何を言っても無駄なようだ。 「よし、わかった。でも一回だけだからね?   そしたらすぐ帰るんだよ?いいね?   それでその勝負ってのは何をするんだい?」 よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに自信満々な顔をして少女はポケットから、何かを取り出そうとする。 「今ね、学校で流行ってるんだ。わたしこう見えてもクラスでいちばんつよいんだよ」 と言って取り出したのは、カラフルで透き通った小さな丸いガラス片だった。キレイな輝きを放っていたそれはまるで、夜空に輝く星座のように思えた。 「おはじきかー。懐かしいな」 少女の手にしているいくつかのおはじきを見て素直に思った。模様にはそれぞれ個性があって、色とりどりでとても鮮やかだ。  まるで水の流れの一部を一瞬切り取った様な、そんな模様をその透明なガラスの中に描いていた。 「おはじきって見たことはあるけど、実際にはどうやって遊ぶの?」 「お兄さんやり方知らないの?」 「う、うん。誰かがやってるところも見たことないな。まあおはじきって言うくらいだからはじいて遊ぶってことは想像できるけど」 「そしたら私が教えてあげる」 と言って女の子は遊び方を教えてくれた。
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