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「オレさ、あんまりご飯を貰えなかったんだ」
ちょっとだけ不満げな顔をして、友達は打ち明けてきた。
「そうなの……それは、辛かったね」
友達とは、ここで初めて知り合った。それまで、どこでどうやって生きてきたのか、僕は知らない。それは、友達も同じだった。
それでいいのだと、この場所にきた時に、管理している人に言われた。お互いに、もっとよく知り合いたいと願えば、少しずつ種明かしをしていくような時間を、一緒に楽しめるのだと。なるほど、と僕は感心した。
「オレ以外にも、うじゃうじゃいてさ。なかなかご飯にありつけなくて」
「そうか……大変だったんだね」
「うん、辛かった。寂しくはなかったけど、いつもお腹が減っているんだ。だから、見ろよ。痩せっぽちだろう?」
友達は強気に笑ってみせる。脇腹にはあばら骨が浮いていて、それを見る僕は上手に笑えているか、自信がない。
今の社会では、友達のような境遇が、とても問題になっているらしい。
「だから、今度はご飯とかおやつとか、とにかくたくさん食べさせてくれるところに行くつもり!」
僕の杞憂をよそに、上と下で瞬く星々に負けないくらい、目をキラキラ輝かせると、友達は、その目で懐中電灯よろしく下の世界を照らした。
「お前は? 今度は、どんなところに行く?」
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