意識を取り戻した妻

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意識を取り戻した妻

寛子が事故に遭って 泉川病院に運ばれてから日付が変わって 午前1時になろうとした時に、 寛子は意識を取り戻して目を覚ました。 「寛子、気がついたか?」 「あなた、ここはどこ?」 「ここは、泉川病院の救急室だ。 これから、大村市の長崎医療センターに 行くことになった。 そこで、おまえは歩くまでの治療する。 早く元気になってオレと一緒に帰ろう」 「あなた、心配をかけてすみません」 「何、言うんだ。 おまえが事故に遭ったと聞いた時は 肝を冷やしたよ。 このまま、目を覚まさないのかと思うと 生きた心地がしなかったよ。 これから先、おまえの入院費と治療費は 加害者である井下さんが負担をすると 言ってくださった。 だから、安心して治療を受けて 歩くまでになろう」 そして、武志は寛子に加害者となった 井下さんを会わせた。 「このたびは、大ケガをさせてしまって 大変申し訳ございませんでした。 これからの先の入院費と治療費は、 こちらで負担をさせていただきます。 どうか、1日も早い回復を願っております」 井下さんは、南島原市の役所で 勤務をしている真面目な方であった。 「先生、ドクターヘリが到着しました」 「松島さん、これから大村市の 長崎医療センターに行きますからね」 「国立病院ですか?」 「そうですよ。 これから看護師と一緒に行きますからね。 何も不安にならなくていいですからね」 そして、寛子は担架に乗せられて ドクターヘリに乗った。 武志も寛子に付き添って ドクターヘリに乗っていた。 そして、ドクターヘリが 長崎医療センターに向かって出発した。 しかし、寛子は意識が戻ってから 気がついたのだろう。 背中の痛みを看護師さんに訴えていたのだ。 そんな寛子に看護師さんは、 「もうすぐ着きますからね。大丈夫ですよ」 そう言って寛子を励ましていた。 そうしたなかで、ドクターヘリが 長崎医療センターに到着していた。 長崎医療センターに到着した 寛子に待っていたのは、 事故で損傷をしていた骨盤と左膝 そして頭の手術であった。 寛子の担当医となった医師は女医であった。 どちらかと言えば、宝塚の男役が そのまま白衣を着た女性であった。 担当医である内田智子医師から 武志は、寛子の状況の説明を聞いていた。 この時、武志は寛子が全身を車に 当たっていたことを始めて知ったのだ。 本来ならば、即死となっていただけあって、武志は顔が真っ青になっていた。 「現在、損傷をしている骨盤と左膝に 金具を入れる手術をします。 そして、頭にも損傷がありますので こちらは背中の皮膚を移植して 傷口を縫っていく手術をします。 手術をする前は絶食でいきます。 その間は、点滴治療をしていきます」 「わかりました。よろしくお願いします」 寛子は、長崎医療センターに入院をして 手術を受けることになった。 寛子の意識が戻ったことに 武志は安心をしていた。 そして、これから寛子は 大手術が待っている。 武志は、寛子が大手術を 乗り越えてほしいと願っていた。
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