通信記録6585

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だが、私が博士から与えられたのは、あくまでもハビタブルゾーンの探索である。 即ち、太陽系外惑星プロキシマ・ケンタウリβで地球の生命体が生存可能かを調査することである。 ミッション以外の活動を実行に移すには、権限設定のアンロックが必要となる。 だが、私にはその権限が付与されていないのである。 地球や博士の現状については心配が残るが、私の航行は順調である。 文殊の演算では、あと5日でオールトの雲を離脱する。 私が地球を飛び立って6,585日目。 推進システムに改良に改良を加えて光速の73%までの速度を得るに至ったのである。 この偉業を博士と共にリアルタイムで分かち合えないことが、誠に遺憾である。 地球で(インス)んだ(トールされた)特殊相対性理論によると、光速よりも速く移動する物は存在しない。 まずは私は光速を目指すことにしたのである。 590b4a5a-c6d4-4345-a852-2748cf4f751f
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