眠れぬ彼女

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眠れぬ彼女

「どういうことだよ」 「いや、なんか俺達の作った映画と同じなんですよね……」 宗介の話によると、題材にした小説の冒頭と同じ展開だと話した。 「で。この先はどうなるんだよ」 「吸血鬼になった主人公は学校を休みます。そして見舞いに来た恋人を拒絶します」 「バカやろう。なんでそんな話を映画にしたんだよ」 「え?だって航太君が任せるっていったじゃないですか」 「うるせ!」 そんな航太は、夏海のことが心配で学校帰り彼女の家に顔を出した。 「ど、どうしたの」 「一緒に宿題やろうぜ」 「う、うん」 親がまだ帰ってこない彼女に家には子供の頃から出入りしているので、航太は遠慮なくズイズイ入っていった。 「おい、夏海、これ」 「きゃ!?なにするの?眩しいよ?」 小説の中で吸血鬼が恐る鏡を彼女に照らした航太だったが、やはり彼女の反応がいつもと違うことを彼は見逃さなかった。 「なあ、夏海。お前さ」 「な、なに?」 「どうして俺の目を見ないんだよ」 「そ、それは」 「見ろよ、ほら」 航太が腕をぐっと引いたので、彼女は下を向いてしまった。 これにはさすがの彼も彼女が何かに取り憑かれたのかと思ってしまった。 「ご、ごめん。あのね、怒らないで聞いてくれる?」 「ああ。ど、どうしたんだ」 「私ね、実はね」 彼女はベソを書きながら話し出した。 「あの撮影の後からね。航太が、航太が地面に落ちる夢ばかり見てるの」 「お前……」
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