「おーい」「なんだ」

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
「おーい」 男が私をよんだ。 「なんだぁ?」 私は返事をした。 「あっ」 男は戸惑っているようだった。 「おーっ 久しぶり!」 私の後ろから声が聞こえた。 「おー偶然だなあ」 男の目線は、私からそれて後ろに行った。 「お前こそ、どうした?」 私の後ろから、そう言いながら違う男が現れた。 「なんだ?」 私はもう一回同じことを言って、軽く手を挙げ、誰もいない前方の路地に用もないのに隠れた。 二人の男は楽しそうに談笑している。   (二人は、私の演技のうわさ話で笑ってないし、本当に私は誰かに話しかけたと思っている) と、私は必死で自分に言い聞かせた。 そのときの私は妙に顔が熱かったのを覚えている。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!