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「美…里……」
「浩哉、気がついたの……!?」
うっすらとまぶたが開かれる。微かな声に立ち上がり浩哉へと顔を寄せる。
「泣いて……る……?」
ゆっくりと右腕が持ち上がる。私の頭をそっと撫でながら、浩哉が呟く。
「だめだよ、美里は笑っていて……」
溢れる涙が止まらない。
浩哉を失いたくない――
「ごめん、少し……眠い……」
静かな声が聞こえて、浩哉はまたまぶたを閉じた。
貴方のそばにいるから。だから――
祈りは続く。こんなにも浩哉が大切な人だったと、いまさら気が付くなんて。
眠りに堕ちた浩哉の頬に口付ける。
「美里ちゃん、ちょっといいかい?」
「おじさん」
ようやく病室に姿を見せた浩哉の父に呼ばれて、浩哉の病状を説明してもらえた。
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