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怖い。このまま浩哉が目を開けなかったら――
「来たぞ、救急車だ!」
はっとして顔を上げる。群がる人達を割入り、救急隊員が三人浩哉へと向かって来る。
「代わります、よけて下さい」
救急隊員が浩哉を取り囲む。簡単に状態を診た後、直ぐに救急車へ運び入れる。
「どなたか付き添いは?」
「あ、店仕舞いが……」
突然の事に浩哉の父は右往左往としている。
「私が付いて行きます」
「すぐに追いかける。頼んだよ、美里ちゃん」
深く頷いて救急車へと乗り込んだ。
浩哉、お願い。目を開けて――
幼い時からずっとそばにいた。浩哉がいなくなるなんて想像した事さえ無い。
私の名前を呼ぶ浩哉を思い浮かべる。ぶっきらぼうなくせに本当は誰よりも優しい。思い出されるのは浩哉の笑顔ばかり。
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