2 小さな喜びがこんなにも嬉しいなんて

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 ──これからもお仕事頑張って下さい。それではこれで失礼致します。  スタンプも何もない簡素なメッセージにも淳史は表情が弛む (今までとは全く違う対応が嬉しいんだろうな)  マネージャーが運転する移動中の車の中でそんな事を淳史は思っていると運転中のマネージャーに話し掛けられる 「……最近楽しそうですね」 「そう?」 「ここ数日スマホ見ながら笑ってます」  マネージャーからの指摘に反射的に自分の顔に触れる淳史を信号待ちのバックミラー越しに見つめるマネージャーは、おもわずもう遅いです。と一言 「……まぁ、仕事に影響のない程度なら構いませんので」  表情を変える事なく、車を走らせるマネージャーに事務所に迷惑掛けるような事はしないよ。と笑って返すと窓の風景を眺める 「…………最初は好きでこの仕事始めた訳じゃないけど」  切ない表情を浮かべて淳史の呟きをマネージャーは反応する事はせずに運転に集中した。 (たまたまスカウトされて、この世界に入って、モデルの仕事をしていたら役者としての仕事が来るようになって、今はありがたいことに色々仕事が舞い込んでくる) (それは本当に感謝している……感謝はしているけど) 「……もうよく分かんないわ……」  淳史は、スマホの画面を見つめたまま小さくまた呟いた。 「明日、オフですからごゆっくり」 「あーごめん、また聞こえた?」 「お気になさらず」  このまま自宅で良かったんですよね?と再度マネージャーが確認するとちょっとコンビニに寄って貰っても良いですか?と尋ねるといつものコンビニまで向かいます。と車の方向指示機を右に出した。 「……いつもありがとう」 「なんですかいきなり」 「事務所からマネージャーには常に感謝するようにって通達が来た」  言わなくても感謝してくれてるのは分かっていますよ。と告げたマネージャーの言葉に安心したような表情でそれなら良かった……と呟いた。  しばらくしてコンビニの駐車場に止まり、ここで待ってますので、とマネージャーは、助手席に置いていたクラッチバッグからスケジュールノートを取り出すと明日からのスケジュールを確認し始めた。  そんなマネージャーの姿を横目に車から降りると足早にコンビニへ向かった。
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