2 小さな喜びがこんなにも嬉しいなんて

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 ──副島 自宅にて──  久しぶりのオフで昼近くまで布団の中で何もせずただゆっくりしていた淳史は、深い息を吐きながら身体を起こす 「……久しぶり過ぎてどうやってオフ過ごしてたか分かんねぇ……」  そんな呟きは虚しく寝室の空間に消えていく  カーテンの隙間から漏れる日差しの眩しさに目をしかめるとまた深いため息が漏れる  まだ重い身体に鞭を打つようにベッドから降りると洗面台に向かい、鏡に映る自分の顔を見つめる (なんかひどい顔してんな……)  鏡に映る顔の酷さに笑えてくる  それだけ疲れてんのかな。とわざと目が冴えるように冷たい水で顔を洗うもすっきりしない  そんな自分に何度目かのため息が漏らすと今度は空腹を満たそうと台所に向かい、冷蔵庫を開けるも最近の忙しさでミネラルウォーターのペットボトル二本入っているだけでとりあえずペットボトル一本を手に取る  よく冷えた水が渇いていた喉を一気に潤していく 「……本当に生活感ないなこの部屋」 (最近は忙しすぎてホテルに泊まってたから無理もないか……言い訳になるかもしれないけど)  半分ほど飲み干してから周りを見渡した淳史は、引っ越してからほとんど変わることのない部屋に苦笑いを浮かべた。 「……久しぶりになんか飯作ろうかな」  さすがに水だけでは空腹を満たすことは出来ないと分かっている淳史は、もう一度寝室に戻るとラフな服装に着替える  私服に着替えた淳史は、変装代わり程度にマスクと帽子を被り、近所のスーパーマーケットに向かうべく家を出た。  結局自炊しようと思っていた気持ちは続かずに惣菜に手を伸ばしていた淳史は、結局こうなるよな。と苦笑する (家に帰ってもあとは台本読んでそのあとは暇をもて余すんだろうな……)  そんな事を思いながら買い物を終えて片手に持ったビニール袋の重みを感じつつゆっくりとした足取りで家路に着いた。
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