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3 いつもと変わらない日常が少しだけ変わる気配がした
少し遅い昼食を終えた淳史は、次の仕事の台本を読み込んでいたが、集中力が切れるのが分かり、とりあえず台本を閉じてため息を溢す
「……全然集中出来ねぇ……」
背もたれ代わりのソファーに体重を乗せて腕を上げる
(こんなことしてても意味ないだろうけど……)
そんな事思いながら体勢を整えて、もう一度ため息を溢すと台本をテーブルの上に置いた。
その時、テーブルにマナーモードのまま置きっぱなしにしていたスマホが震えたのが分かり、確認してみるとメッセージアプリにメッセージが受信させていた。
(こんな時にいったい誰が……)
メッセージアプリを開いてみると思ってもみなかった人物からで驚きを隠せずに変な声が漏れる
急いでメッセージを開いた淳史は、さっきまで抱いていた倦怠感が抜けていく気がした。
──突然申し訳ありません。
──雑誌買いました。というご報告だけでもと
──あの、一つだけ確認なんですが
──あのインタビューのお話はあの時の事ですか?
──違いましたらすみません。
──違いましたら返事いりません。
数回にも分けて送られてきていたメッセージに浮き足立つ気持ちになるのを何とか抑える
既読スルーするわけにもインタビューを思い出す
(まだあの人に会う前に受けたインタビューか……)
そう思いながら、変なキャラクターが土下座して謝るスタンプを送る
──すみません。間違いないです。
──でも勝手に話してしまって
気悪くしてしまったなら謝ります
──わざわざご報告ありがとうございます。
最後にサンキューと言っているウサギのようなキャラクターのスタンプを送って、メッセージアプリを閉じた淳史は、テーブルに置きっぱなしにしていた台本を再び手にとって読み始めた。
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