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2 小さな喜びがこんなにも嬉しいなんて
──今日は、本当にありがとうございました。
──それからも頑張って下さい。 相沢 詩織
仕事終わりにスマホを見た淳史は、知らない番号からのメッセージを読んで、おもわず声を漏らす
(まさかメッセージをくれるなんて思ってもいなかった)
心配そうに見てきたマネージャーに笑いかけて、もう一度スマホの画面を見つめる
「……メッセージ貰っただけなのに」
こんなにも嬉しいなんて思わなかった。淳史は、そんな事を思っているとマネージャーが話し掛けてきた。
「今日はもうこれで終わりですが、どうされますか?」
「そのまま家に帰るよ。あっ、家まで送って貰っても良い?」
かしこまりました。と頭を下げて楽屋を出ていくマネージャーを見送った淳史は、急いで家に帰る支度をしながらメッセージの返事を返す
──メッセージわざわざありがとうございます
──まさかメッセージ貰えるとは思ってもいませんでした
──これからもよろしくお願いします 副島 淳史
「……よしっ」
メッセージを送れただけで自己満足した淳史は、遠くからマネージャーの呼ぶ声が聞こえたのを合図に荷物を握り締めて楽屋を出ていった。
「何か良いことでもありましたか?」
マネージャーからの突然の質問におもわずなんでそう思います?と聞き返す
すると、淳史の顔をじっと見つめるマネージャーは、しばらくして嬉しそうに笑みを浮かべる
「ほんと何?」
「今の私と同じような顔になっているんですよ」
久しぶりに見ました。あなたがちゃんと笑ってるの。と告げると先に車取りに行くので、エレベーターでゆっくり来て下さい。そう言い残し、階段を駆け下りていく
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