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ぶれることのない繊細な動きは、葵の芯のある強さを表しているかのようだ。
嫋やかでありながらも強かさを感じる様は、まさに葵らしく彼にしか表現できないものなのだとわかる。
澄んだ美しい瞳がおれを捕えた。
少し緊張しているかと思われたがそんな心配は要らぬもので、案ずるなと言うように葵は堂々と舞っている。
いつものように余所見はするなと訴えかけてくる眼差しが、くすぐったくも愛おしい。思わずフッと小さく微笑むと、それまで澄ましていた葵が途端に悩ましげな表情をした。
お澄ましの葵が心を乱す相手はこのおれだけなのだ。それを実感するたびに喜ばしく、えも言われぬ幸福感に包まれる。
そんなおれとは別に葵の方は、一体どんな気持ちで舞を踊っているのだろうか。今夜、ベッドの中で教えてもらおうか。
こうして、葵と一緒になるまでには筆舌に尽くし難いような辛い茨道も通った。
だが、そんな過去などに脅かされることなくおれたちの今は平穏無事で、到底尽くされることなどない幸せで満ち溢れている。
一生の愛を捧げあった愛しい人と、一生を共にしていけるこの喜びを、なんと表現しようか。
それも今夜ベッドの中で、愛しい葵と一緒に考えようか―――。
お澄ましの蕾 〈了〉
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