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『we're Men's Dream』 -type B-
どん。軽い衝撃が走ると、乗っている車がなにかにぶつかって止まってしまった。後部座席で眠っていたボクは、運転席を伺ったけれど、なにも見えない。スマホの時計を読むと午前一時。画面右上の電波アイコンは「圏外」の表示。
車内灯もつかず、車はエンジンもかからないみたいだった。運転席の龍子がなんどもスマホを確認する。
「だー、ダメだ! おかしい。マップアプリだと十二号線を東に直進してるはずなのに!
おい、真琴、ヌイ。オマエらのスマホ、電波入るか?」
ボクともう一人の同乗者のヌイは、スマホの画面に目を落とし、同時に首を横に振る。
そうこうしているうちに、エアコンの切れた車内の温度が下がり始めた。せめてお湯でも沸かそうと思って後部キッチンに移動する。コンロのスイッチを入れたけれども、なにも起こらなかった。ガスではなくて、IHヒーターだったからかもしれない。ボクは機械に弱いので無力だった。
三人で軽く話し合った。スマホがライト替わりにもなるけど、充電のあてもないし、あと五時間もすれば夜が明ける。それまではスマホの電源を落として、おとなしく毛布にくるまって眠ることにした。
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