グラウンドの真ん中で

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縫い目の内側に人差し指の外側を掛ける。 親指の付け根をボールに密着させるように深く握った。 相手は四番。 コイツが放った打撃(タイムリー)で一点差まで追いつかれた。 フルカウント。 分かってんだろ、西木。 打たれたら、なんて考えるのは最初のうちだけだった。 打たれたって、仲間が拾ってくれる。 今はバッターと勝負することに全神経を集中させるだけだ。 監督に教えてもらった『来ると分かってても打てないスライダー』。 「むちゃくちゃ曲がるなぁ!」 西木さえ取れないこともある。 セットポジションから足を上げ、人差し指に全神経を集中させながらーー
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