32人が本棚に入れています
本棚に追加
思い切り投げた球。
指の掛かりの感触は最高。
途中まで真っ直ぐ飛んだボールは、俺の思った軌跡を描きながら曲がった。
相手の怪物が、音が見えるほどのスィングをしたと同時に、西木のミットが音を立てた。
息が止まるかと思った一瞬。
「ストラーイクッ! バッターアウト!」
大袈裟なくらいの審判のモーションが、やけにゆっくりに見えた。
試合終了。
ナインたちが俺に向かって四方八方から全力で走ってくる。笑顔、笑顔、笑顔。
「わあああああ!」
「やったぁああああ!」
盛り上がる仲間たちが、遠慮なく俺を叩いてくる。
「痛えって!」
今日だけは許してやるけどな!
「よっしゃああああああ!」
俺もグラウンドの真ん中で雄叫びを上げた。
コイツらと一緒に
甲子園だ!!
最初のコメントを投稿しよう!