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「よっしゃー、平原。塁に出ろよ!」
「オオシ!」
金属バットを一振りしてバッターボックスに向かう、一番平原。遂にやってきた甲子園のグラウンド。みんなベンチから半身乗り出して応援する。
「しっかり水分摂ってくださいね。直射日光受けてるんですから」
肩を慣らそうとグラブを持ってベンチを出る俺の背中に、マネージャーが声をかけてきた。
振り返ると、彼女の丸メガネが光っていた。その奥の目はきっと心配そうにこっちを見ている。
「太陽の光ってな」
いつも俺たちをサポートしてくれるマネージャーに、俺は笑いかけた。
「俺たちを照らしてるスポットライトなんだよ」
側で聞いていた西木が「ブハ」と吹き出した。おい。せっかくカッコいいこと言ったのに、台無しじゃねーか。
「んだよ」
「いやいや、何も」
西木の肩を軽く殴り、俺たちはキャッチボールを始めた。
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