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一回の表の攻撃が終わり、俺たちが守る順番がきた。
気合を入れて、ベンチから仲間が飛び出していく。
「っしゃ、行くぞ」
「はいよ」
右腕を大きく回しながらマウンドに向かう俺に、不意に西木が「なあ、千葉」と声をかけた。
いつもの笑顔だが、何故か神妙な顔つきに見えた。
「なんでピッチャーになること、断らなかったんだ」
「あぁ?」
西木のヘルメットが日の光をピカリと反射していた。眩しさに顔を顰める。
そうそう。コイツのせいで、俺はピッチャーになったんだっけな。
「逃げるの、嫌だから」
俺はビビりだ。
だからこそ。それを自覚してるからこそ。
「自分の弱さに負けたくねぇんだよ!」
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