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明るい光を瞼に感じていた俺は、カッと目を見開いた。
「やべえ」
一睡も、できなかった。
地区大会初戦の日。
「よぉ〜し! 勝つぞ!」
「オオシ!」
円陣を組んだ仲間たちが声を上げて、自分の守備位置に散っていく。
マウンドの一番高いところで太陽の光を浴びると、日差し以上に熱くて焦されそうだ。
ボールの縫い目に掛けた指が、大袈裟に震えてやがる。
審判がプレーボールの合図を出す。
落ち着け。大丈夫だ。
西木のサインに頷き、呼吸を整えた。
大きく振りかぶり、キャッチャーミットだけに集中する。
渾身の力を込めた球は、金属バットの快音と共に打ち返された。
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