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ずっと前から決めていた。この日この時間あの場所で、君にとても大切な話をしようと。
ちゃんと彼女に会うのは3ヶ月ぶりになる。
入社3年目、新規プロジェクトのメンバーに抜擢されたのは嬉しかったけど、あまりの忙しさに目が回る。プロジェクトメンバーに抜擢されたことを報告した時、自分のことのように喜んでくれた彼女の顔を思い出す。だけど、ここ数週間はまともに声すら聞けていない。
特に忙しかったこの1週間、寝る間も惜しんで準備したプロジェクトが、ようやく走り出した。これでしばらくはゆっくりできる。何より、今日という日に間に合ってくれて助かった。
「急だけど、今日会えない?」
昼休み。彼女にメッセージを送るとすぐに返信が来た。返信内容は、質問の返事ではなく俺の体調を気遣うものだった。俺が忙しいのを分かっていた彼女は、メッセージすらあまり送って来なかった。連絡できない間も、ずっと俺の体調を気にしてくれていたみたいだ。彼女の気遣いと優しさに、心が温かくなる。
俺はプロジェクトが無事に走り出したこと、忙しかったけど体は大丈夫とメッセージを送り「話したいことがあるんだけど、今日会えない?」と続けて送った。さっきまですぐに来ていた返信がなかなか来ない。少し不安に思いながら待っていると、昼休みが終わる直前にOKの返事が来た。
午後からの雑務をこなし、労おうと飲みに誘ってくれた上司に頭を下げて、家路を急ぐ。
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