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あ!!
佑だ!!
『事故らず着いたかー。おめでとう』
「佑の運転より三十分以上時間掛かったけど……」
『安全運転が一番だ。雪は?』
「まだ積もるほど降ってない……」
『暖冬だもんなー』
大好きな佑の声が心の中まで響いて沁みて、また涙が出そうだ。鼻の奥が痛くなって瞼も熱くなって……でも我慢しなきゃ。自分で決めた事だ。
『飯食えるとこあるの?』
「荷解きしたらハリスホテルに向かうから、国道沿いに何があるのかチェックする。それにさ。カレーの美味しいとこあっただろ? そこのママさんがさー」
他愛ないお喋りで何とか涙を堪えて。十五分、二十分、もういい加減、佑を解放してあげなきゃと思ったのに。
『帰っても宗二郎が居ないと思うと寂しくて泣けるわー……』
「…………」
『女々しいなー俺……」
佑の鼻声に釣られるように一気に涙が溢れた。
「お、おっ……おでぼざびじいぃぃっ……!」
『……ちょ』
「あいだいっ……いばすぐあいだいよぉ……!」
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