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  「頑張れなかったー♡」 「…………」 「ホラあれだ週末婚。いや、俺が通って来るから週末通い婚♡」  山間部の日暮れは早い。  泣き疲れて寝て、起きたら真っ暗で怖くて、家中の照明を点けて、ダイニングでテレビを大音量で流しながら弁当を食べ終えたタイミングでまた黒電話が鳴り響いて─────  慌てて玄関を出たところで佑のステーションワゴンが石畳の通路を入って来た時は夢かと思った。 「辛抱が足りん……!」 「うん、ごめん」 「仕事はどーすんだっ。海苔はっ」 「平日にちゃんと働くから大丈夫。夏場は無理だけど、今の時期ならいいってー。働き方改革認められたー」 「〜〜〜〜〜っっ!」 「宗ちゃん⋯⋯嬉しくない?」 「おたんこなすっ……」  嬉しくないわけない。たとえ一週間に一度でも、こうして佑に会えるなら、俺はもっともっともっともっと頑張れる。  首にきつく抱きつくと、佑は俺の体を掬い上げて玄関に入った。そして上がり框で押し倒された。 「折角我慢してたのに。やっぱり無理はするもんじゃないなー」 「我慢も無理も要らなかったのにっ」 「明日は? どっか行く予定?」 「今日の予定が繰り越しだけど、いいから。気にしなくていいから」
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