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布団の中はぬくぬくだ。寧ろ暑い。佑の体温に包まれ多幸感で満たされて……でも顔が重い。特に目が重い。
「またこんな腫れるまで泣いて」
「煩い」
「よしよし」
「ホントに……通い婚してくれんの? 無理してない?」
「宗ちゃんの顔見ない方が無理。長距離運転させんのも心配だから俺が来る」
ヘラっと笑って瞼や鼻先にちゅっちゅっとキスして。佑は荷物を下ろしてくると言い置き、服を着て階下に行った。俺も続こうとしたけど下半身が鉛のように怠い。久し振りの上に激しかったせいで起き上がるのにも苦労する。でもコレは俺にとって何よりの幸せの証だ。
顔も重くて体も重くて、でも心が軽くて温かい。佑は俺の心に実にダイレクトにクリーンにストレートに作用する。
俺の荷物はスーツが二着と普段着数セット、家着に作業着防寒着。衣類は出張に行くにしては多いか? って程度。あとはパソコンを始めとしたお仕事道具ばかりだ。でも佑は食材をいっぱい積んでいた。
「宗二郎の好きな常備菜、どっさり作ってくからな。一気に食うなよ」
「有能家政婦さんみたいな事しなくていいよ。藤間さんも滞在するし奪われたくないし」
「…………」
佑は笑ってはいるけど何かが違う。ん? んん?
「佑……まさか妬いてる?」
「うん。まさかじゃなくガッツリ」
「だからこんなにキスマークっ……!」
佑があからさまに嫉妬なんてこれまでなかった。俺がギャーギャー喚く事は珍しくないが(イケメン画像とか詮無い事で)、佑にはそんな感情自体がないのかも知れないと思う程度になかった。
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