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  「安心しろ。俺も藤間さんも立派なネコだ」 「そこは全く安心材料じゃないんだよなー」 「でもっ」 「解ってるよー。でも、ヤキモチくらい自由に焼かせろ」  俺の鼻をむぎゅっと摘まんで、鼻先にちゅっとキスして。佑は袖を捲りながらキッチンに入った。冷蔵庫に食材を入れると調理家電を一通り見て回り、IHコンロが上手く使えるのかとかブツブツ呟いている。俺はダイニングテーブルの椅子をひとつ引っ張ってきてアイランドキッチン越しに着席し、佑の動きをひたすら見つめる。 「横になってたら? お尻に響くぞー」 「藤間さんみたいなプリプリだったらなー」 「あの人プリプリなの?」 「プリっプリな小尻で羨ましい。ここにいるうちにエクササイズ伝授して貰って、俺もプリプリになるから愛でろ」 「プリプリの宗二郎もいいけど、俺はお腹ポンポコリンの幼児体形な宗二郎を死ぬほど愛してるぞー」 「俺も死ぬほど愛してるしっ! 色黒でも、ヘラヘラしてても、イケメンばっかり漁っててもっ……」  佑の手が伸びてくる。頭を撫で、頬っぺたを撫で、また鼻を摘まむ。佑の手から愛情がビンビン伝わる。染み出して溢れ出してダダ漏れの愛情が。  激しいセックスでもヤキモチでも伝わるけど、俺が一番落ち着くのはこんな何気ない仕草なのかも知れない。優しくてあったかい、佑の大きな手に触れられて……二人で生きられる幸せを実感する。  どこに居たって俺は絶対一人じゃない。
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