705人が本棚に入れています
本棚に追加
/271ページ
「あっちの斜面は葡萄畑を作るから置いといてって連絡がありました」
「葡萄畑……?」
「お嬢さんが日本の巨峰とシャインマスカットに惚れ込んで、自らも美味しい葡萄の栽培に取り組まれるそうです」
「お嬢さんお幾つ?」
「15才」
「…………」
ご家族のデータも頂いたけど、この家族構成は欧米のセレブのようだ。いやJIBだし。欧米でも大人気の、まさしくセレブで間違いない。
ドニさんは東京のスタジオに籠もるって話だったけど、週明け、カナダに戻る前の数日間を碓氷村で過ごされる。カナダで年越しし、ウィンタースポーツイベントの最高峰と名高いEXTREMES ′20を観戦し、その後は日本で東京オリンピック終了までの〜〜んびり過ごすと聞いた。なんかもう色々凄すぎて右から左に受け流すしかないわ。
「昨夜は結構降ったなー」
「佑がボード持って来てくれるんですー♡」
「俺も久々に滑ろっかなー」
「滑れるんですか?」
「もともとスポーツ万能少年だからなー」
「絶対嘘……」
「反町に聞いてみろ。俺がどんだけ体育に直向きで可愛い高校生だったのかをっ」
「や、別にそこまで興味ないです」
山からの風が頬を切って、二人で身震いして。昼メシ食ったらまた延々パソコンと睨めっこだ。
「さー今日も美人なママさんに会いに行くぞー」
「浮気者」
「俺は美しいものが大好きだからなー」
最初のコメントを投稿しよう!