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うすい山荘でカレーランチも最早定番だ。俺の場合大盛り二杯は食べるので、マスターが時々こそっとメニューにない定食とかを出してくれる。俺の顔がドス黒くなるのを心配しているらしい。
「宗二郎くん、ホントに気持ちいいくらい食べるねー。ほっそいのに」
「胃下垂の幼児体型なんですー」
「胃下垂ってイカ飯みたいになっちゃうアレ?」
「イカ飯……せめてキューピーちゃんと」
古民家に一人ぼっち且つ、佑の常備菜も切れた夜にはお言葉に甘えお弁当をお願いする。ご家族の夕飯と同じものらしいけど、家庭の味はホッと落ち着く。
「ごはんもりもりべんとう、おまたせたしましたー」
「たー!」
「ゆきちゃーん♡日向くーん♡」
うすい山荘のお子さん達もママさんと一緒に配達に来てくれるけど、非っ常に愛くるしい。雪国の子どもって逞ましいなあ。俺は寒い夜は家から一歩たりとも出たくない子だったぞ。
「こないだは海苔ありがとね! メチャうまだったー。旦那もこの子らも食べまくるから、あっという間になくなったわ」
「まだまだ売るほどストックあるんで。持って帰ってください」
「ホント!? やったー♡」
「やったー♡」
「ったー♡」
村にもちょっとずつ慣れて来て、振興組合のおっちゃん達ともご挨拶が出来るようになった。が、ご好意で分けて頂くお野菜類が目下の悩みのタネである。
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