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   結局俺の部屋の炬燵で由一郎は寝た。襖で仕切った隣の間に布団も敷いてやったのに。缶ビールにチューハイに……所変われば人も変わるって言うけれど、スペインは酒好きな人が多いお国なんだろーか。 「日本は寒いってずーっと文句言ってたのに、飲んだら場所も気温も関係ないな」 「藤間さんも今日は結構飲みましたねー」 「垂水くんが飲まなさ過ぎなんじゃね?」 「俺が酔うのは佑にだけなんですー」 「ハイハイ」  明日は朝から(ささき)さんや工務店の川添社長が応援に来てくれる。佑は夕方に到着。自分の仕事を済ませ、買い物をしてからやって来る。夜は穴開きのブルーシート部屋では寝泊まり出来ないから、東海林さんが手配してくれたハリスホテルで一夜を過ごせる。目眩く一夜を。  前回は激しかったんだよなー。俺は初めてのスノボであちこち筋肉痛だって言ってんのに、抱きたい抱きたいって……フフフ。 「ナニ笑ってんの。ブキミ」 「反町さん、出張とは言え他の男とお泊まりで怒ったりしません?」 「…………いや、全然」 「…………(さては怒られたな)」  俺と佑も同級生だけど、三十になっても四十になってもきっとずっと変わらないと信じられる。藤間さんも─────取り敢えず頑張ってくださいとしか言えないな。それも心の中でのみ。おまえが言うなって間違いなく突っ込まれるからな。うんうん。
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