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満月の夜、私は君と出逢った。
煌めく神秘に照らされた君の姿が格好良くて、でも、どこか悲しげで。
その姿を見るだけど胸が熱くなった。
君の全てが欲しくなった。
君のためならきっとどこまでもいける。
そう思った。
気づけば、そんな君から目が離せなかった、離したくなかった。
しばらくして、私に気がついた君は静かに振り返って私を見つめていた。
その瞳からは小さな雫が零れ落ちていた。
どうして泣いているの?
どうしてそんなに悲しい目をしているの?
そう言いたかったけれど、言葉が出てこなかった。聞いてはいけない気がした。
君は頬に流れる涙を拭うと、その場で崩れてしまった。
私が彼の元へ駆け寄ると、その身体は酷く冷たくなっていた。
彼の瞳からは輝きが失われ、あの小さな雫は影も形もなかった。
彼の唇に私はそっと唇を重ねた。
壊れてしまわないように。
やさしく。やさしく。
私は彼に静かに囁く。
これからも、よろしくね。と
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