まさか最強の能力者は貴方だったの

1/12
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
夫の機嫌が悪い日は珍しい。否、違う。休みの日の朝富士子が起きた時に夫の機嫌が悪いなんて結婚以来初めての事だ。 ( 結婚6年目にして初!) 普段なら夫は上機嫌で飛び起きてコーヒーを入れ洗濯機を回し、朝ご飯を作り、掃除機をかける。そのうるさい音で富士子や子供達が渋々起きて来る、という感じだ。 ( 掃除機の音がしないから、ゆっくり寝ちゃった。) 起きて行くと普段の日曜日と違う事に驚き、慌ててコーヒーを淹れる。沸かしたお湯で港ちゃんの紅茶も入れて、総十郎君のミルクを温めてテーブルに運ぶ。 「 おはよう、大丈夫?」 コーヒーをテーブルにそっと置いて夫に尋ねると夫はハッとして顔を上げ、 「 あ、おはよう、ごめんコーヒー入れてなかったね。」 その言葉で機嫌が悪いのでは無いと言う事に気づく。 「いいよー珍しいね。ていうか、今までずっと朝ご飯準備してもらってた事に感謝だよね。ありがとう。」 朝ご飯の準備をして出来た分ずつテーブルに運ぶ富士子に、 「あのさ昨夜よく眠れなかったんだ。」 と、夫が言った。 「珍しいね。食べたら寝たら。」 本当に珍しい。さっきまで話してたのにイビキをかいてるような人で、いつも早寝早起きだ。子供が生まれる前からそうだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!