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アストの答えの“一つの単語”にカッサは目を輝かせた。
「えぇ! 竜ですか? ドラゴン? 」
「そうだよ。」
「アストさんはドラゴンに会ったことがあるのですか!?」
「あ、あぁ……」
「羨ましいな〜ぼくドラゴンを一度だけ見たことがあって!」
「へぇー」
「夜空をキラキラと飛んでる姿がすごく綺麗だったんですよ。まるで星が降っているようでした。ドラゴンは口から火をはいて、大きな翼で空を飛ぶんですよね? とてもカッコいいなぁー!!」
カッサはとても嬉しそうに目を細めてドラゴンを脳の中で描いている。彼の周りには花が舞っている。(実際に消えていたトウキとケイヒが、現れて花弁を撒いている。)
「ドラゴン、そんなに好きなのか?」
「はいっ!」
カッサが生き生きとした返事を返すと、アストの眉尻は少し下がって優しい表情に変わった。
「……そ っか。なら いつか、おまえに見せてやるよ。」
「えぇ!」
カッサはグイッと顔をアストに近づける。
「ほんとですかっ? いつかっていつですか?」
「おまぇ、顔ちけーよ」
「おまえって……あっ、ぼくの名前はカッサです。 それより、そんな不確定な“いつか”は嫌です! 5日後とかにして下さい!」
そう言うカッサを見てアストは驚いた。
「よ、よだれで出るぞ!」
「すいません!嬉しいことがあるとよだれが出てしまう癖があって。そんなことは置いといて、いつドラゴンに会えます? 日にち決めましょうよ! お願いですから〜」
カッサは両手を重なり合わせて懇願するも、アストは
「もぉーしつけぇなぁ〜きたねぇし! 分からないもんは分からないんだよ!」
と言うと後退りをしてカッサから距離を置こうとするのだった。
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