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ーーホォーホォー
梟が春風のような声で鳴く。
カッサはベッドでスヤスヤと眠っている。
ご飯を食べてお腹いっぱいになったカッサは森へと探索に出かけた。
迷子になるといけないからと、アストから頭の上にトウキとケイヒを乗せられ、2人から髪を引っ張られ操縦されるように、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
森にあゆみを進めるたびに小さな聖霊たちが興味津々で話しをしてきたり、触れたりしてきてカッサは楽しいひと時を過ごした。
「寝たか……」
アストがカッサが眠る部屋の扉を微かに開けて、安心して眠る彼を見るとそっと扉を閉めた。
彼は静かに城を出ると、森の奥へと進む。
小さな精霊たちはアストを見つけると、彼について行く。
30分ほど歩き、彼がたどり着いたのは島の東端。
そこには他の木々よりも大きな木が生え、その大木は枝を絡ませてドームのようになっている。
アストはその絡まる木々の中へと入って行く。その中は大きな窪みがあった。
その窪みの中央に巨大な岩のようなものに彼は迷いなく近づいた。
「来たぞ」
その巨大な岩は岩ではなく、ドラゴンであった。
硬く石像と成り果てたドラゴン。
「ククル……」
アストは優しい声色で そう言うと、ドラゴンの口元を手のひらで撫でた。
「海から来た人間の子供な、今日目覚めたよ。 珍しくドラゴンが好きな人間みたいでな、ドラゴンに会いたいってせがまれた。」
彼は微笑み、溜息を吐いた。
「早く、おまえのこと治さないとな。」
そう言うとドラゴンの側に座り、静かに横たわった。
そしてアストは瞳を閉じる。
「……おやすみ。」
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