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「私は、2000エア先、シラベの森からやってきた。」(※2000エア=2000キロ)
落ち着いた低い声が、アストの耳へと届く。
「それはそれは、遥々どうもお越しくださいました! それでいきなり現れてオマエの用件は一体なんだ?」
ドラゴンとは打って変わってアストの声は落ち着きのない早口になった。おそらく起こっていることが理解できず苛立っているようだ。
「歳が千を超えた時、この地に赴くよう伝承に従って、ここに来た。」
アストが欲しがっている答えがようやく返って来たがいまいち意味が掴めない為、彼は顔を顰めた。
「伝承? ドラゴンとエルフが契約を結んでるっていうのか? 俺はそんなもの聞いたことはないぞ。」
顎をしゃくりあげ、腕組みをして跪く男を見つめた。
「今から言う言葉は、旭暉の龍となる者だけに受け継がれし言葉。」
(キョッキのリュウ? 一体それはなんだ?)
アストの困惑する表情を気にすることなく、彼の目の前の者は大きな身体を起こし、ギロリと金色の瞳で見下ろし口を開いた。
「旭暉の龍は、アスト王の夫にして、唯一彼を殺せる者。」
アストはその言葉に固まった。
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